愛知県情報企画課
平成14年5月27日
あいち情報基盤研究会(仮称)設立企画案
1. テーマ
「知りたいことが、“知りたいとき”“簡単に”“どこででも”知ることのできる街、あいちの実現」
〜 地域発、地域のための情報流通を目指して 〜
2. 設立趣旨
近年のIT革命と呼ばれる情報通信技術、端末の発達は、情報へのアクセスに必要なコストの劇的な削減を実現し、従来の商工業のビジネスモデルに多大な影響を与えてきました。しかし日本におけるインターネットはそのめざましい発展とは裏腹に過度の東京一極集中がおこり、それにより問題が生じてきました。例えばインターネットプロバイダ同士を結ぶ相互接続点(IX:Internet eXchange)が東京に一極集中したため、愛知県の同じ市内に住む友人同士が異なるプロバイダを利用しているとその通信はいったん東京を経由して行われる事になります。これは大変非効率なトポロジーです。この問題はインターネット上に流れるデータがE-mailやwebサービスといった比較的容量の少ないものが主流であった今まではあまり顕在化してこなかったのですが、今後インターネットテレビ電話や映像といった大容量コンテンツが主流となるとき、情報流通の発展を妨げる要因となる可能性を懸念されています。さらに最近のADSL、CATV、FTTHを始めとするブロードバンドサービスの低廉化はこの動きをより加速させるものであると言えます。??? この問題に対する解決方法として従来から東京のIX機能の分散化を目的とした地域IXという概念がありました。しかし大手プロバイダは経済的合理性の観点から地方での相互接続を嫌う傾向にあり、現状ではその成立は大変困難であると言えます。こういった状況から現在、そして将来におけるこの地方に必要な情報通信基盤について考えると、東京の負荷分散という概念よりも地域の情報をその地域に住む人達に向けて受発信する事を主目的とした、情報通信基盤を構築することが必要であると言えます。これによって当地域の情報流通が活性化するだけでなく東京への不要な通信の削減も可能となり、東京一極集中の弊害も解消することができるようになります。
一方IT(情報技術)の発展により人々の求める情報も質的な転換が見られるようになりました。東京発の全国画一的な情報から自分の町の自分の生活に生かす事のできる情報が求められるようになってきました。一例を上げれば、名古屋で働くビジネスパーソンが一番知りたい情報は、東京の美味しいと言われるお店の情報ではなく、「今日のお昼に会社の近くで、自分においしいランチを出してくれるお店はどこなのか。」といった情報であるということです。こういった情報を得るためのツールとして現状の情報インフラを考えると、まだまだ改善の余地が大いにあると言えます。
そこで本研究会は実際の生活に反映できる情報の定義を「そこに簡単に行って実際に体感できる情報」として物理的な距離、すなわち生活圏に着目し「地域発、地域のための情報流通」をテーマに掲げました。またこの情報へのアクセスは“知りたいとき”“簡単に”“どこででも”できることを目標として、そんなことができる地域“あいち”の実現に向けた技術情報やアイデアなどの情報交換、提携についての検討ができる場として定期的な会合・交流会を開催します。
3. 事業活動
あいちの情報通信基盤の発展を目的とした技術情報やアイデアなどの情報交換、企業提携について検討するための定期的な会合、交流会を実施する。またこの研究会を通じて国等の機関に働きかけ施策の提案を行うと同時に、補助金事業の受け入れ皿機関としても活動を行う。
具体的な検討テーマ(案)
●地域から地域への情報流通に必要な固定ネットワークインフラについての検討
・ブロードバンドネットワーク整備について(・CATV網 ・FTTH網 ・ADSL網 ・FWA網等)
・iDC(インターネット・データセンタ)整備について
・エクスチェンジ機能(IX、地域HUB、情報流通交換点)、CX(コンテンツ・エクスチェンジ)、SX(ソリューション・エクスチェンジ:企業向けソリューションの提供用エクスチェンジ)について
●地域から地域への情報流通に必要なモバイルネットワークインフラについての検討
・携帯端末向け情報提供システムについて
・第3世代携帯電話について
●地域発、地域への情報流通を可能とするコンテンツ提供システムについての検討
・地域属性をしぼったコンテンツの提供方法について
・地域情報のコンテンツ化に関する方法
● 地域情報のコンテンツ化のためのデータ標準化方式についての検討
・METAデータへの地域属性の書き込みに関する標準化
・地域情報検索用サーチエンジンの開発or既存エンジンのチューニング
● 新しい情報技術の実社会での実現についての検討
・IPv6フィールド実験の実現について
・位置情報をトリガーとした情報の配信技術についての検討
● 究極の地域情報である行政情報の提供方法についての検討
4. 組織構成(案)
コーディネイター
- 愛知県、名古屋市
- 学識経験者、有識者 座長 名古屋工業大学 岩田 彰 教授
愛知県立大学 小栗 宏次 教授
名古屋大学 安田 孝美 助教授
中京大学 鈴木 常彦 講師
- メンバ:上記検討課題に関わる民間企業、行政関係者、大学関係者等
5. 事務局
愛知県企画振興部情報企画課地域情報化・基盤グループ
〒460-8501 名古屋市中区三の丸3丁目1-2 自治センタービル10F
Tel:052-961-2111(代表)内線5055 FAX:052-961-8501
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Copyright: Tsunehiko Suzuki